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school life

第5章 歪む心~school life~

「そう……。じゃあ――息の根を止めてやるわ! みんな手伝って」

「でも……」

 女の子たちは心配そうに言う。

「大丈夫よ。こんなの学校で起きた不幸な事故として揉み消せるわ。パパに頼めばね」

「え!?」

「だからね。パパは教育委員の偉いさんなの。分かる?」

「うっ……うん。わかったよ」

 私たちは一斉に美紅の上に乗る。京子はプールに中でもがく。京子の抵抗する力がなくなった時、私たちはうまいこと京子から離れる。けれどさすがにこのままはまずい。

「先生! 花宮さん、溺れてるんじゃないですか!?」

 私は涙目で先生に訴える。

「えっ……えっと」

 先生はあたふたするのみ。周りはざわつき始めた。その時、一人の男の子が、京子の元にかけつける。アシンメトリーな黒髪で常に成績優秀の木ノ下歩(キノシタ アユム)。確か有名な大学病院の跡取り息子だ。彼は京子を引き上げ、人口呼吸をする。だが、京子は中々、目を覚まさない。

「大丈夫だ。ただ、ショックで意識なくしてるだけだから。じき、目を覚ますと思う。俺、保健室に連れて行きます」

 歩は、京子をおぶる。

「俺もついて行くよ」

 十夜だ。

「おう、頼む」

 二人はプールから立ち去った。どうして? 許せない。許せない。十夜は私のモノよ。誰にも渡さない。こんなもので済むと思うな。もっともっと傷つけてやる。あいつを絶対に地獄に突き落としてやる。

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