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犬猿の仲良し

第23章 ちくちく

神「ほー…健太君はこんなに可愛い璃玖君をはべらしといて浮気ですか」
璃「いや違ぇ…それに」
神「それに?」
璃「俺の方が最低だ」
神「?」
璃「健太に告られてきもいって思ったのに離れられそうになったら離したくねぇって思うし、キスだって嫌なはずなのに本気で拒絶しなかったし、でも健太が他の奴好きになってそいつと付き合うなら俺だって違う奴のこと好きになってやろーとか思って…でもやっぱり俺は」
神「ストップ」

ギュッ…

神楽の大きな体に抱き締められた。
熱い体だな。

神「璃玖が壊れそうだったもんで」
璃「壊れっ?!」
神「健太のことになると自分があんまコントロール出来てねぇんだわな。ちょっと落ち着け」

低くて優しい声が耳に響く。
心地良い。
あ゙ーもう色んな意味で泣きそう。
何で健太なんか好きになったんだろう。
こいつを好きになればよかった。

俺は抱き締められながら、神楽の顔を見た。
背が高いから首が痛い。
神楽は目が合うと、にっと笑った。
俺は神楽の胸に顔を埋めた。

…何でだ?
やっぱり俺は健太じゃないとだめだ。
神楽の優しい性格だけじゃだめなんだ。
健太はむかつくしうざいし馬鹿だしどうしようもないけれど、それ引っくるめて…。

そうか、俺は健太が好きだ。

蒼「みぃーちゃった♪」

俺は屋上の扉を開けて出てきた人物を見て、神楽から即座に離れた。
蒼依?
何でここに?
健太と居たはずじゃ…。

それに前までの可愛い顔とは打って変わり、悪魔のような顔をしている。

神「誰だ」

神楽の低音が屋上に響いた。
瞳孔が開いている神楽は、まるで獣のようだった。

蒼「蒼依でーす。いやぁー、まさかお二人がそういう仲だったなんて♡」

甘ったるくなめたような言葉は、俺達を苛立たせた。

神「関係ないだろ、去れ」
蒼「ふふ、まぁ関係性なんて分かってるんですけどね。それよりもぉー」

嫌な予感がする。
胸がざわつく。
何だ?

蒼依はペラッと1枚の写真を見せてきた。
俺は目を見開いた。

神「…」
蒼「おぉーっとぉ、何も言わないんですね(笑)まぁ言えないかぁ、こんな写真見せられたら…」

その写真は、俺と神楽が屋上でキスをしている…いや、しているように見える写真だった。

蒼依は俺の目を見てきた。
俺は蒼依が何を言いたいか見当が付いてしまった。

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