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犬猿の仲良し

第24章 届いて

健「あ、そーだ。今言うか?って感じだけどさ。俺、そろそろ返事欲しいかなー、なんて…まだだめ?って落とせるようなこと何も出来てねぇからあれだけど」

こいつ…。
そんなのとっくに忘れたものだと思っていた。

「落としてやる」

そんな一方的な口約束を覚えていたなんて。

…嬉しいじゃねーか。

とてつもなく気持ちを伝えたい。
俺も好きなんだって。

でも今伝えてしまったら、後で健太が傷つく事になるかもしれない。
あの写真を見て、裏切られたと思い俺から離れてしまうかもしれない。

中々煮え切らない俺を見て、健太は口を開いた。

健「んー…前にも言ったよな、俺」

俺は首を傾げた。
何をだ?

健「俺は璃玖の味方だ。今も、これからもだぞ?何をそんなに心配してんのか分かんねーけど、この気持ちは揺るがない…です。とにかく俺を信じろ!」

健太の裏表ない言葉に、ブワッと何かが込み上げてきた。

璃「っ、ぅ」
健「声出た?!てか泣いてるし大丈夫かよ璃玖…?」
璃「ぁ、っあ、」

声はまだ出ないみたいだ。

言いたい。
やっと気付いたこの想いを。
健太の言葉を全て信じれば何も怖い事なんてない。

俺、信じるから。
だから言わせて。

俺は声を振り絞った。

璃「ぁっ、ごほっごほっ」
健「ちょ、それエロい勃つやめて。襲ってもいいなら別だけど」

俺は全力で首を振った。

璃「っ、あ」
健「エロいんだよ!言いたいことあるなら紙に書けって!マジで襲うぞ?!」

紙なんかで伝えたいことじゃないんだ。
自分の口で…。
あ、そうだ。
俺は紙に「読唇術」とだけ書いた。

健「なに…どく、くち…??」

馬鹿なの?!
俺はふりがなと説明を書いた。

「どくしんじゅつ 口の動きで相手が何を言っているか当てるやつ」

健「ほー。それをやんの?紙でいーのに。俺ちょっとなら漢字読めるからな?」

今読めてなかっただろうが。
それに紙じゃ駄目なんだって。
俺は深呼吸して、口を動かした。

健「つ、…き、が?月が?」

違う違うお前目大丈夫か。
俺は首を振った。

健「もう一回」

健太の真剣な眼差しが何だか嬉しかった。

健「す?き、だ………………好きって」

目をまん丸にした健太に俺は小さく頷き、そのまま俯いて手で顔を隠した。

すると、健太にガバッと抱きつかれた。

健「…やば」

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