
犬猿の仲良し
第3章 気付いて下さい
ーそして今に戻る
今日はこいつが調子狂ってるせいか俺まで混乱してきたわ。
めんどくさいな。
解決させるためにも理由聞くか?
でも今授業中だしな。
健太は声が大きいからこそこそ話す事は出来ない。
中学の頃経験済みだ。
…となると。
俺は健太が珍しく開いているノートに「どうした?」と書いた。
健太がすぐ気付き、しばらく渋った後にこう書いた。
「何でもないですが」
あるだろうが!
ってか何で敬語?!
謎すぎる。
しかもきったねー字。
小学生の頃と全然変わらない、でかくてミミズが這ったような字。
俺はふ、と笑ってしまった。
その時、ガタガタと健太が体勢を崩した。
健「う、ぉお」
璃「は?」
何今の声。
うおおって。
健太と目が合った瞬間。
バンッ
俺達は驚き、教卓の方を見た。
先生「おいそこの二人!あ?珍しいじゃねーか健太。俺の授業の面白さにやっと気付いたな?じゃあこの問題解いてみろ」
ニヤニヤしてんのか素直な笑みなのか分かんないな。
あの顔。
健太がゆっくり立ち上がり、黒板の文字を見て真剣に考えていた。
ばーか。
お前の脳みそで今更考えても分かんねーだろ。
俺は健太のノートに4√3と書き、シャーペンでとんとん、と合図をした。
健「4…」
ん?
おい、まさかルートが読めないんじゃないよな?
健太を見上げていると、小声で話し掛けてきた。
もはや小声でもなかったが。
健「4と3に挟まってるやつ何」
嘘だろ?!
挟まってるってお前…。
教室のところどころで笑い声が聞こえる。
そりゃそうだ。
ルートが読めないなんて誰が想像したか。
俺は呆れながら小声で「4ルート3」と言ってやった。
すると、健太は自信満々に答えた。
健「4フルート3」
は?!
先生「あぁ?!」
教室がどっと笑いで溢れた。
先生が髪を搔きむしる。
先生「今は音楽の授業じゃねぇ、数学だ。もういい座れ」
健太は不満そうな顔をして椅子にどかっと座った。
