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犬猿の仲良し

第5章 恋の応援とは

ー登校

璃「思ったんだけど」
健「何ですか?」
璃「好きな奴って誰?」

そう聞いた瞬間、健太の動きがピタッと止まった。
顔が引きつってますけど。

璃「おい」

まずいこと言ったか?
しばらくして、健太が我を取り戻したかのように動き出した。

健「あっ、えー、言わないとだめ?」
璃「いや、相手を知らないと応援出来ねぇし」

昨日、応援はどういうことをすればいいのかと考えた結果、まず相手を知らないという結論に辿り着いた。
我ながら良いところ(?)に気づいたと思う。
健太は考え込んだあとに、俺に聞いてきた。

健「誰だと思う?」

そう来たか!
しかしこんな時のために予習はしておいた。
流石だろ。

璃「俺の予想だと晴か…まぁ百歩譲って田中さんだ」
健「晴はいいとして…、百歩譲って田中さんって何だよ!」
璃「もしかして田中さんなのか?すまん。百歩譲らないことにするわ」
健「いやいや、そーじゃねぇよ!何で田中さんが好きだと思った?!」
璃「だって田中さん小さ…んん゙っ、けど顔綺麗だしバスケ上手ぇしかっけーし?たまに抜けてて可愛いと思うし。」

よく考えてみれば田中さんでどんぴしゃじゃねーか!
俺すげぇ!

健「そんなに田中さんの良いところ思いつくんだ。へぇー」

健太がつーんとし始めた。
最近こいつ情緒不安定だな。
何で機嫌悪くなってんだ?
はっ、これはもしや…。

璃「これが嫉妬か」
健「は?」
璃「わりー。全然そういう好きとかじゃねぇんだ。尊敬してるだけだから」
健「本当かよ?じゃー俺の良いところもそんぐらい言えんの?」
璃「は?お前関係なくね?」
健「ある。はいどうぞ」

随分強引な気が…。
まぁいいや。
長年一緒にいるんだ。

璃「健太の良いところだろ?余裕で…」

あれ?

璃「なくね?」
健「はぁ?!」
璃「あ、キーキーうるさくて猿みてぇなところとか」
健「猿?!それ全然褒めてねーじゃん!大体、自分だっていろんな奴に尻尾振って媚売ってる犬みたいな癖に!」
璃「誰が尻尾振ってるって?!」
健「お前だよ!お・ま・え!」

くそ野郎だなこいつ。

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