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犬猿の仲良し

第6章 歯車のスイッチ

声のした方を見ると、やっぱり健太で目が合った。

健「誰そいつ?」

直は何故か肩を組んできて、とんでもない事を言い放った。

直「何-?璃玖の彼氏?」
璃「は?!ちげーよ!つーか呼び捨てすんな!」

直を振りほどこうとしたが、重いしでかいしで動かなかった。
俺って最近非力な気が…。

健「そんな強く否定しなくてもよくね?」

笑いながら健太が直と俺を引き剥がす。
青筋が出てますが。
直は、そんな様子の健太を見て言った。

直「初めまして!!ついさっき璃玖と知り合いました、井澤直と申します!以後お見知りおきを」

そう言って、にこっと笑い、手を差し出す直。
胡散臭い笑顔だな。
つか、何で俺に敬語使わないで健太には使うんだ?!
意味不明だわ。

健「赤谷健太、よろしく」

また健太もにこっと笑って、直の差し出した手を握り、握手を交わしていた。

…握手が長いな。
な、何か空気が重い。
3人中2人も笑顔なのに。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、直は握手していた手をぱっと離した。

直「じゃっ、俺行くんで!璃玖もまたな」
璃「ちょ、俺先輩…って行ったし」

でかい癖に足が速いのか。

健「教室…。戻るぞ」
璃「あぁ、」

健太は暗い顔で俺を横切る。
あれ?
さっきまでの笑顔はどこへ?
前を歩く健太を見ると、左手で右手を抑えていた。

璃「おい、怪我したのか?」

しかし、俺の声は聞こえてないみたいだ。
健太はぼそっと何か言った。

健「あんの馬鹿力…」
璃「何て?」

健太はやっと俺の声に気付き、振り返った。

健「何もない!」
璃「そうか」

やっぱりうるさい。
猿だな。

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