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犬猿の仲良し

第15章 無くしてから初めて気付く

ー屋上

健太以外の誰かとここに来るなんて変な感じだな。
ここに来るまでのクラスメイトの視線がぐっさぐさと刺さった。
一緒に歩くなってか。
俺達は地べたに座った。

…。

何話せばいいの?
初対面だわ。
でも朝陽みたいな奴は自分から話題を振ってくるはず。
俺は弁当を広げながら話かけてくれるのを待った。

…。

あれあれ?
おかしいな。
あ、弁当食い始めてからかなー?
そうだよなきっと!

璃「いただきます」
朝「いただきまーす!」

相変わらず馬鹿でかい声だな。
よし、その調子で俺に話しかけてこい。
大抵のことには答える。
さあ来い。

…。

それから俺は弁当の半分を食べてしまっていた。

嘘でしょ?!
何で無言?!
何で誘った?!
ちらっと朝陽を見ると、もっもっとひたすら食っている。

まさか俺から話しかけるのを待っているとか?
おいおい。
先に言ってくれよ。
今更ぱっと話題なんて思いつかないわ。

話題話題…。
盛り上がりそうな話題って何だ?
最近の若者は恋バナしとけばOKみたいなやつをネットで見たような。
こいつ健太のこと好きそうだから健太の話でもすればいいのか?
俺は健太の話だとテンション下がるけどいいや。
よし。

璃・朝「あのさ…あ、」

おいいいいいいいい。
はもってんじゃねえええ。
気まずくなっちゃっただろ!!

朝「そっちからでいーぜ!」
璃「いや…」

はっ。
ここで俺がいやいやそっちからで、と言ったら譲り合いが続いてしまう。
お言葉に甘えよう。

璃「じゃあさ…何で今日、誘ってくれたんだ?」

あれ?
何聞いてんの俺。
恋バナは?
しかしこいつは、俺が普通に質問したのだと思い込んでくれた。

朝「なんつーかね、今日しかねぇって思った!」

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