テキストサイズ

犬猿の仲良し

第15章 無くしてから初めて気付く

璃「…何が?」
朝「璃玖の近くにはいつも健太がいたじゃん?何か話しかけづらかったんだよな!」
璃「そうか?あいつちゃらんぽらんだしむしろ話しかけやすいかと…」
朝「でもさー!……あ、これ言っちゃだめなんだっけ。」
璃「え?いや分かんねぇ」

んーっと頭を抱えて悩み始めた。
さっきから話が噛み合ってない。
何を言いたいんだ?
まず何で俺こんな事聞いたんだ。
はてなが多すぎて混乱してきた。

璃「もう言えよ」
朝「んじゃー、秘密な!今から言うこと!」

軽いな。
さっきまでのシンキングタイムは何だったの?

璃「おう」
朝「健太な、璃玖と他の奴を話させないようにしてたんだよ」
璃「ん?」
朝「独占欲強いのなんのって。これ友達から聞いたからマジだぜ!ていうか俺もその被害者の一人!」

びっくりした?とでも言いたげな顔をして、俺を覗き込んでくる。

それなりに驚きはした。
でも何だろう、この違和感。
違和感っていうか俺の健太像が何か違うっていうか。

璃「何のために?」
朝「さぁ…、まぁ健太が璃玖のこと好きなのはバレバレだよな!璃玖はどうなの?」

どうって…。
好きではない。
だけど離れたくない。
そんな存在だ。
…やっぱりおかしい。

璃「あいつ何て言ってた?」
朝「璃玖に近付いたら殺すってさ!」

ああ、分かった。
違和感の正体が。

璃「…な」
朝「え?なになに?」
璃「ふざけんなよ」
朝「だよなー、璃玖の高校生活台無しに…」

朝陽はやれやれといったジェスチャーした。
そんな態度に俺はカチンと来た。

璃「健太はそんな事してねぇし言わねぇ!俺が一番一緒に居たんだ!」
朝「いや、本当だよ?」
璃「たとえクラスの全員が頷こうが俺はあいつの口から聞かない限り信じねぇ」

俺は弁当箱を片付け、立ち上がった。

朝「ちょ、戻るの?待って!」

朝陽に手を掴まれた。

璃「俺に近付いたら殺す」

俺はかつて無いほど鋭い眼光で朝陽を睨んだ。

朝「参ったな…」

朝陽はゆっくり手を離した。
俺は立ち上がり、屋上のドアに手をかけた。

璃「…誘ってくれてありがとうございました」

バタンッ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ