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Dream Kiss~それぞれのバレンタイン~

第7章 願う幸せ~悠編~

「ごめん。昔は好きだった頃もあった。けど、今は違う。好きな子いるから」


 優美は涙を零す。俺のわがままだって分かっているけど、泣かないで欲しい。本当に何で今更……。俺も何であの時、言わなかったんだろう。あの子に出会ってなければ、まだ優美のことを好きでいられたのだろうか。


「ごめん、泣かないで」


「好きな子ってどんな子?」


 何でそんなこと聞くんだよ。同じバンドの彼女が好きだなんて、言えるわけないじゃないか。


「普通の子だよ」


 嘘をついた。だけど優美をこれ以上、傷付けたくないから。

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