
リモーネ
第4章 ツルバラ
その日の四時間目、おにぎり一個による空腹と何をいっているかわからない社会の先生に飽きて、授業を聞かずにひたすらぼーっとしていた。
かえで先輩の俺が好き。って言うのは、なんだろう。
かわいい後輩として?
それだとしたらあまりにも過保護すぎる。
じゃあなんだ?
かえで先輩は俺のこと女って思ってる?いや、かえで先輩の方が女?
そんなはずはない。
だってむねぺっったんこ…いや筋肉だったし、パンツ男物だし付いてるみたいだったし、俺だってついてるし。
男同士。
あれか、オカマ…2丁目…えーっと、オネェ…。
それか。うん。
…え、かえで先輩、女装が好き?
どんなことになるんだろう…。
180近い男の女装…。
いやでも、海外だとそれくらいの女の人もいるんだよな…。
うーん。
「…う!
竜胆!!」
突然自分の名前を呼ばれ肩をビクッとさせ、声のした方を向く。
社会の教師だった。
「…ハイ、竜胆です。」
「古代ガリアに遠征し、ガリア戦記を書いたことで有名なのは?」
「…。
…ナポレオン?」
「…違う!カエサルだ!
竜胆、次回35ページの問題全部当てるから答えるように。」
「…ハイ…。」
思考の海に船をだし遭難していた俺に降りかかった問題、教師の質問を理解できず、取りあえず知っている世界史上の人物を言ってみたのだか、どうも違ったらしい。
かなしい。
いや、そうじゃない。悪いのは俺じゃない(お前だよ)
かえで先輩だ…。
くっそ、かえで先輩め!
「セーナーちゃーん!」
四時間目終了のチャイムが鳴り、机を片付けて鞄から財布を出していると、今一番聞きたくない声が聞こえた。
「なんでしょうか、カラカゼせんぱい。」
「わっ!突然の空風!?
どうしたのセナちゃん?お腹痛い?」
「違いますよ。社会の照田(テルダ)先生にカラカゼ先輩のせいで言われた問題が解けなかったんですよ」
「え?あのつるっぱげの?つる田(あだ名)?
てかどう言うこと?わけわかんない。
それよりも学食いこうよ」
