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リモーネ

第4章 ツルバラ

「そうですね。学食、早くいかないと場所なくなりますもんね

つるっ…いや、なんというか、少し光ってらっしゃいますね。」

鞄から財布をだし、席を立ち、かえで先輩と共に学食へむかう。

「授業中にかえで先輩が女装がしたらどんななのかを考えてたら訳のわからない質問をされて、怒られて、次の授業で問題を答えなきゃいけなくなりました。しかもたくさん。」


「んえ?え?

俺が女装?はい?」


「いやだから、かえで先輩が俺を好きってことは男の人が好きになる人ってことで、男の人が好きになる人ってことは女の人になりたいってことですよね。

だからオカマ?とかオネェ?って人と一緒じゃないですか?

だったら女装するんですよね?」


「どこまでド天然さを出せば気が済むのかはしらないけど、言っておくと、俺に女装癖はないからね?


更に言うと俺は男の人が好きになるとかより、そうじゃなくて、この人だから、セナちゃんだから好き。なんだからね?

ゆっちゃえばおっぱいもお尻も大好きですが?」


「…よくわからないです。」


「これからゆっくり説明してあげるよ。」



そこから昼休みが終わる寸前までかえで先輩の好み(かえで先輩曰く性癖)を熱弁されたが、


わからない。


そもそも、好き。がよくわからない俺に、この人だから好きがわかるわけがないのだ。


そう言えば俺には好きな芸能人がいないな。


この歌が好き。この人のこの役が好き。この人の声が好き。この人の目が好き。この人の笑い方が好き。

でも、ファンとまではいかない。

あの歌好きだったけど、次の歌そうでもないや。あの人次の役あんまり好きじゃない。この人の口はあんまり好きじゃない。この人の真顔やだな。




手放しでこの人のすべてが好き。がない。






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