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リモーネ

第5章 ペチュニア




「おっはよーセナちゃーん☆…って、ちょちょっと…扉閉めないで!」

「…朝から何事ですか」

「やっぱさー恋人同士だからさー遊ぼうと思って !」

「…帰る気はなさそうですね。入って鍵閉めてください。俺着替えてきます」

朝から着信音と玄関のピンポンの音に起こされた。

着信音はかえで先輩だとわかってスマホの電源を落とした

そうすると玄関のピンポンの音が鳴り始めた。切れ目なく。

五月蝿くてどうしようもないので仕方なく出ると案の定笑顔のかえで先輩が目の前に。



このどうしようもなくご機嫌なかえで先輩を見て、なにか起こるかもしれないという身の危険を感じ(決して期待しているわけではないが)、隙を見て父の動向を探った

この時初めて巨大グループの会長を父に持っていてよかったと思った

自社のサイトを見ると、父…いや会長は現在上海にて商談中とのこと。

約1週間の予定で今日は3日目。

切り上げて帰るとも思えない規模、重要性の高い商談と見える。

大丈夫、父は今日も帰ってこない。

波風を立てても、見る人は俺とかえで先輩だけ。

「薊会長上海にて商談中、経過は上々」

「っばをぁ!」

「セナちゃんがなかなかこないからどうしたのかなーって」

「あ、はい、イエ、別に問題はないです」

「…そう。ホラ、セナちゃんの部屋連れてってよ」



俺はなんだかぎくしゃくして、かえで先輩に言われるがまま二階の自室につれていく


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