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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第2章 始めてみる

 それを元に戻すと、一番上に自分が引いたカードがある。


 それを僕に手渡すとき、一番上のカードだけを手に取って渡したとしたら……。


 それしかない。


 大人の手の大きさなら、それは可能。


 見えた。


 河内さんのマジックの裏側が見えた。


 そして、僕がトランプの中を見て、カードを探している間に、こっそりとポケットの封筒に入れることだって、出来る。


 パァーッと太陽が頭の中を照らす。


 出来た。だけど、電車の中では大きく喜べなかった。


 出来た嬉しさを、誰かに言いたかった。


 でも、これを言うと、河内さんがこのマジックを、出来なくなる。


 なぜか、そこまで心配したよ。


 自分なりに、何度も繰り返す。上手くバレないようにするためには、かなりの練習が必要だ。


 初めて自力で、種を知った瞬間だった。






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