
僕らはずっと…
第11章 好き
「そう?」
春のそばにいると自然と優しくなってしまう。好きな子相手に優しくなったり特別扱いしてしまうのは普通だろう。
「うん。優しいよ。柊みたいに優しい人他にいない。」
なんて嬉しいこと言ってくれるんだろう。照れちゃうよ。
好きな子にこんな事言われて嬉しくないやつなんているわけない。
「だから、花山さんと付き合えばいいよ。」
「え……。」
春の方を見る。唇を引き結んでティーカップを見つめている。
「今、なんて、」
え、え、え?
「花山さんと付き合えばいいって言った。告白されたんでしょう?」
「なんで、そんなこと、」
「柊なら彼女が出来たら優しいい彼氏になれると思うよ。花山さんとならすごくお似合いだし。」
「春。それ、本気で言ってんの?」
自分でも想像以上の低い声が出た。まるで俺の気持ちを表してるみたい。
自分のティーカップを置いて春の方を見る。
春は少し驚いた顔をしていた。
「俺の気持ち知っててそんな事言うの!?」
心がモヤモヤする。さっきまでの嬉しい気持ちが嘘みたい。俺は春の肩をつかんでいた。
春が驚いてコップを床に落とす。中のミルクティーが床にこぼれる。
「なんでそんなこと、」
そんなこと春にだけは言われたくなかった。俺は春が好きなのに。その気持ち知ってるはずなのになんでそんな事言うんだ。
それに、花山さんにはもう断った。はなからだれとも付き合うつもりなんてない。
春を好きになった時点でほかの子なんか目に入らなくなった。
俺の好きは全部春のものなのに…。
「だって。」
下を向いていた顔を上げて春を見たら春の瞳が揺れていた。
「柊。花山さんに告白されたんでしょ?」
「それはもう、」
「それだけじゃない。柊が色々な子に告白されてるの知ってるもん。
柊はいつか他の人を好きになって私のそばからいなくなっちゃうかもしれない。」
春の目から涙がこぼれる。
「そんなこと、」
「柊が誰かを好きになっちゃったら私は止めれない。そばにいれない。そんなの嫌だよ。
