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はじめで終わる物語

第1章 惑星レオナカバオ

 チャップは恐る恐る、鏡を指で触れてみる。


 すぶずぶっと、第2関節まで入っていった。


「うわぁーーっ!! 気色悪っ!! 鏡に触れたらこうなる感が失われてる!! 薄い煮凝りの中に指入れてる感じ!!」


「わけのわからん表現をするのでないっ!! さっさと入って、地球にいけっ!!」


「いや、怖いですよ!!」


「なにが怖い?」


「村長、考えて下さい。あなたが地球の日本で生まれ育ったアフリカ人だとします。40年日本で生きてきて、突然、神様が“こいつ日本人とちゃうやんけ、元にもどしたるわ”と、急にアフリカに戻されたらどうします? 言葉も通じないんですよ。生活環境が、まるっきり違うんですよ。不安になるでしょ、怖いでしょ」


「旅行感覚で人探ししてたら、楽しくて仕方ないぞ。旅行に来たつもりだったらよかろう」


「なにこの屈強なプラス思考……じゃあ、試しに村長行ってみてくださいよ」


「こんなもん、なにが怖いんじゃ。見ておれ!!」


 ヨマネーズは、飛び込むように、鏡の中に入っていった。


 街中に突如現れたヨマネーズに、人々は騒然としている。


 それもそうだ。


 いつものことで、あえてチャップは指摘しなかったが、ヨマネーズは腕に包帯を巻いただけで、あとは全裸のジジイだ。



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