テキストサイズ

琉依短編集

第1章 花火~蓮と夏の思い出~

「琉依」

「ん?」

 蓮はあたしにキスをしてきた。

「っ……」

 私の耳に響く花火の音。近くに感じる蓮の熱。

「琉依……愛してる」

 唇が離れると耳元に聞こえる蓮の声。目を開けると見えた色とりどりの空に咲く華たち。

 咲き乱れ散り、散っては咲き乱れを繰り返している。

 花火が終わると蓮の家に向かった。

「いてっ……」

 慣れない下駄による靴擦れ。

「ばーか、慣れないもん履くからだよ。はい」

 蓮は私に背中を向けしゃがみこんだ。

「何?」

「おんぶしてやる」

 蓮の言葉に素直に応じた。

「重い?」

 あたしが蓮に聞く。

「いや、軽い」

 蓮の家に着くと蓮はサンダルをかしてくれた。

 そして蓮は部屋から何かを取り出した。

「何?」

 あたしは聞く。

「手持ち花火。前の駐車場でやろうぜ」

「分かった」

 駐車場で手持ち花火をした。花火大会とは違う楽しさを感じた。

 最後は、線香花火。願い事をした。

“蓮とずっと一緒にいれますように”

 線香花火が落ちるとあたしと蓮はまたキスを交わした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ