今日も明日も
第71章 アナタは誰のもの?
離れた身体の隙間に風が入って、妙な寂しさを覚える
…本当は離れたくなんかないのに
「あ、ねぇにの」
「ん?」
ふいに呼ばれて上を向いた瞬間、相葉さんの唇が俺のそれに触れた
「…今はこれで我慢しとく」
「賢明な選択だな」
憎まれ口の声が、掠れたのを自覚するけど
気付かないフリ
「帰ってから、覚悟しといてね」
唇を離し、額を合わせながらクスクス笑うから
「…ばーか」
俺は顔が熱くなって、軽く相葉さんの肩を小突いて見せる事しか出来なかった
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相葉さんを約束通り実家に送って
たまたま出て来た相葉さんのお母さんに見つかって “上がっていけ“ と、かなり言われたのを断って
相葉さんが帰る予定までの約4時間、俺は久しぶりに1人で映画を満喫した
…決して強がりじゃない
こと映画に関しては俺は集中してじっくり見たい派なのに対し、相葉さんはいちいちリアクションが大きくて言っちゃ悪いが落ち着かないから
滅多にないこのチャンスは、絶好の観賞タイムになった