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今日も明日も

第12章 いたみ

「…はぁっ!」

荒い息とともに勢い良く飛び起きた。

全身が汗だくになっている。

目許は涙で濡れてるし、まだ息も乱れて止まらない。


「…ちょっと相葉さん、大丈夫?」

「ほぇ…?」

横にいたにのがもぞもぞと動くと

俺に寄り添うように隣に座る

「あ……にの?」

「凄くうなされてたよ」

汗びっしょりだね、って言って

にのは俺の髪を後ろに撫で付けた。

…夢だったのか。

そうだよね

俺があんな事するわけない

思わず両手をじっと見つめる

だけど

…あの、細い首を締めた感覚はまだ残っていた


「んふ。オールバック、似合うね」

俺の雰囲気を察したのか

にのが茶化すように笑う。

そして、再び動いたと思ったら

俺の腿を跨がって、向かい合わせに座った。

「お風呂、湧かそうか」

「え?」

にのは俺の肩に片手を置いて

空いた手を頬に寄せている。

「そのままじゃ、気持ち悪いでしょ」

確かに、じっとりと濡れて貼り付いたTシャツは

不快でしかない。

「自分でやるからいいよ」

にのを降ろして、ベッドから抜け出そうとすると

「いいから。…優しいでしょ、俺」

にのはにこっと笑って先にベッドを降りた。

あ、と俺を振り返ると

「コーヒー淹れといてね!」

今度は悪戯な笑みを見せてから

さっさと部屋を出ていった。

「…分かりました」

誰もいないドアに呟く

俺の方が手間掛かるじゃん…



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