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今日も明日も

第14章 蜘蛛の糸


「最近、元気ないね」

大野さんがいきなりにゅうっと顔を近づけた。

「うわっ!!」

いきなりのどアップに驚いて

パイプ椅子ごと後ろにひっくり返りそうになったとこで

「あぶなっ」

原因である本人が何とか支えてくれたから

とりあえず倒れずに済んだ。


「もー!びっくりさせないでよ!」

「ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど」

まさに「てへぺろ」の言葉が似合いそうな表情をするから

文句を言う気が失せてしまった。



「にの、最近おかしいよ?どうしたの?」

改めて、隣に座った大野さんが再び顔を覗く。

「…いつもと同じだよ」

何もないよ、と目を合わせて笑って見せた。

「嘘。違う」

じっと見つめる目は、凄く真剣で。

いたたまれなくて、思わず目を逸らしてしまった。



普段と同じように楽屋で過ごして

同じように仕事はこなしてるつもりだったけど



…やっぱ、何年も一緒にいると

分かっちゃうのかな。



いや、大野さんの観察眼が凄いのか。

この人、いつも寝てばっかでフニャフニャしてるくせに

…変なとこで鋭いんだよ。





「相葉ちゃんと何かあったの?」

いきなり核心を突いてきた。

「…なんで?」


「だって、相葉ちゃんもおかしいもん」

「……」


傍目には、お互い「普通」に接している。

それこそ

今までみたいにじゃれあう事だってしてた。




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