今日も明日も
第14章 蜘蛛の糸
「…そう言う事なんだ」
皮肉めいた歪んだ笑み。
「俺より、智くんの方が良かったんだね」
その笑みが、苦しげなものに変わって行く。
…何で?
どうしてそうなるの?
俺が好きなのは、相葉さんだよ?
そう言う事…って、どう言う事?
だけど
固まってしまった俺の口は動かなくて
ただ、茫然と相葉さんを見つめる事しかできない。
「ちょっと相葉ちゃん!」
張り詰めた空気を壊すように
俺の頭から手を離して大野さんが立ち上がった。
「なに?」
大野さんに対しても、相葉さんは低く冷たい声。
多分、初めて聞くそれは
…きっと大野さんも戸惑ったと思う。
「何があったんだよ…」
そう相葉さんに訪ねる声色が
凄く、悲しげだったから。
「智くんには、関係ないよ」
相葉さんが苦々しく答えた瞬間
大野さんはいきなり相葉さんに詰め寄ると
そのまま彼の胸ぐらを掴んだ。
「でも、ほっとけるわけないだろ?!」
胸ぐらを掴まれた相葉さんは、自分より低い位置にある大野さんの顔をじっと見つめている。
突然の大野さんの行動に
俺も涙が完全に引っ込んだ。
相葉さんは、自分を掴む大野さんの手をそっと離すと
「ごめん…」
それだけを呟いて、大野さんから目を逸らした。