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今日も明日も

第14章 蜘蛛の糸



少しの沈黙があった後

大野さんは俺と相葉さんを、屋上に連れ出した。



すれ違うスタッフ達は

ただならぬ雰囲気を察したのか

誰1人として

俺たちに声を掛けてはこなかった。

それもまた

…じわじわと俺を苦しくさせた。






「…ここなら、誰も来ないから」

屋上に着いた大野さんが、無理に微笑んだ。

「全部教えろなんて、言わない。でも、さっきも言ったけど…ほっとけないんだよ」



「…関係ないって言ったでしょ」

場所が変わっても、相葉さんの答えは変わらない。


「俺はさ、相葉ちゃんもにのも心配なの。…無理してるお前ら見てるの、嫌なんだよ」



唇を噛み締める事しかできなかった。

…大野さんに何て言えば良いのか分からない。

だって

これはあくまで俺と相葉さんの問題であって

大野さんを巻き込む必要はない。



だけど

俺たちの間の溝が

確かに周りに心配を掛けてしまっているのもまた

事実で。



「大野さん…ごめん」


これしか、言葉が見つからない。


まだ、2人の中でも何も話していない。

相葉さんを傷付けてしまった

あの一言に対しても

何一つ

解決どころか進展すらしていないんだから。







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