今日も明日も
第14章 蜘蛛の糸
バレないように仕事をこなして
家に着いたのは
23時を回っていた頃だった。
気付いたら、相葉さんと
ここで殆ど一緒に過ごしてた。
自分の家はあるのに
少しずつ彼の私物が増えてきて
…ここに二人で帰るのが
当たり前になってた
それが
今、この荷物の持ち主は
ここには帰って来ていない。
もう、1週間以上経つのに
真っ暗な部屋に1人で入るのが
寂しくて仕方がないのに
…何も動いてないのは、俺の方。
大野さんに気付かれたのは
もしかしたら
良いきっかけだったのかも知れない。
テーブルに放り投げたスマホを手に取って
相葉さんに掛けようとして
アドレス帳を開く。
…いや、違う。
それじゃダメなんだ。
俺は財布とスマホだけを持って
急いで家を飛び出した。
もちろん目指したのは
相葉さんのマンション。
時間が遅いとか
仕事で疲れてるだろうとか
そんな事は何も考えずに
ただひたすら車を走らせていた。
運良く、相葉さんのマンションの来客用スペースが空いてたから
そこに車を止めて
エントランスに走って行く。