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今日も明日も

第14章 蜘蛛の糸

部屋番号を押そうとして

…初めて手が震えてるのに気付いた。



ここまで来て

怖いなんておかしいだろ。

勢いで飛び出してきたけど、少し冷静になった今は

早く会いたい気持ちと

会うのが怖い気持ちが

自分の中でひしめき合っている。



ーー今行かなくてどうすんだよ!



ギュッと目を瞑って、自分に気合いを入れて

さあ、押すぞ!

と指を伸ばした瞬間




「にの…何してんの」



後ろから

低い声が聞こえてきた。




「…っ」

まさかの声かけに驚いて振り向くと

仕事帰りの格好の相葉さんがそこにいて。


手に持ってるビニール袋から

買い物してきたのが伺える。

ちょうど帰ってきたとこだったらしい。



「…何の用?」

相葉さんが、俺の横を通りすぎようとする。

その拒絶する態度に挫けそうになったけど


「話がある!」

何とか持ち直して、相葉さんの腕を掴んだ。

「…聞きたくない」

俺の手をそっと引き剥がす。

…もう!

「聞いてくれないなら、ここで大声出すよ」


俺だって

ここまで来たら

後には引けない。


相葉さんは、普段言わないような俺の台詞に

深いため息をつくと



「分かったよ。…おいで」


おいで、の声がちょっとだけ優しかった。










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