今日も明日も
第14章 蜘蛛の糸
「…飲む?」
冷蔵庫から、缶ビールを取り出して
俺に差し出す。
「いや…いい」
飲んで話すのは、いくらなんでもダメだ。
「そう」
何故か相葉さんまで、再び冷蔵庫にそれを戻した。
「…あなたは飲めばいいのに」
何も俺に合わす必要はない、と言ってみたけど
それには何も答えてはくれなかった。
「話がある」とは言ったものの
未だに何も言えない俺と
…何を考えてるか分からない
冷めた目の相葉さんの間には
重苦しい空気が漂っていた。
どれくらいの沈黙が続いてたのか
時間すら、分からなくなってしまった頃
「話って…何?」
ついに相葉さんが
沈黙を破った。
「今さら何を話すの?」
再び、突き放すような一言。
俺の方を見てはいるけど
その瞳は、暗く陰りが強い。
尚も、何も言葉が出ない俺を
相葉さんは、どう捉えているんだろう。
「…それとも」
「え…」
「話、なんて嘘で…俺に、抱かれに来た?」
いきなり俺の腕を掴んだ相葉さんが
思わず逃げたくなるくらいの
嫌な笑みを浮かべて
耳許で囁いた。
「な…っ!違う…!」