
今日も明日も
第20章 countdown
相葉さんが、咄嗟に唇を離す
噛んだ下唇からは
真っ赤な血が滲み出て
少しずつ、少しずつ…顎に伝い出す
「…何、してんの」
それを指で拭った相葉さんが
聞いた事のないような、低い声で呟いた
「…自分の胸に、聞いてみなよ」
本当は唇からの出血の、予想以上の多さに動揺したけど
必死にそれを隠して、挑発的な視線を送り返す
「自分の胸、よりもさ…」
相葉さんは、左手を後頭部に回して
痛いくらいに俺の髪を掴むと
「かずに聞いた方が、いいと思うけど?」
「あ…っ!」
いきなり仰け反った首筋に、歯を立ててきた
俺の弱いとこなんて、知り尽くされてるから
抗いたくても、引き出される官能的な刺激は
拒否する事を許してくれない
首筋から耳に移動した唇が、執拗にそこを愛撫する
じわじわと侵食してくる感覚を逃したくて
強く唇を噛み締めた
「く…っふ…ん…」
抑えきれないくぐもった声が、自分で悔しくて、目尻に涙が滲む
空いている手が体を這い回り、時折指先に少しの力を加えて
官能を探すような動きを見せた
