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今日も明日も

第4章 すれちがい

相葉さんと言う人間に出会ってから

今まで分からなかった感情を色々と知るようになった気がする。

知りたくなかった
嫉妬や不安感なんてのも。

「バカでも分かるような嘘ついてさ」

「……」

相葉さんの手がおれの涙を拭うように撫でる。

「別れたいならはっきり言えよ。そしたら俺から先にあんたを捨て…て…やる…から!」

最後の方は嗚咽に紛れてしまう。

「にの!!」

痛いくらいに抱き締められた。
相葉さんの体温が伝わってくる。

「ごめん!避けてたんじゃないの。ちゃんと話すから…!だから…別れるなんて言わないでよ!」

抱き締めていた腕の力を抜いて少し離れると、
俺の目線に自分のそれを合わせてきた。

いつもの優しい光が相葉さんの目には宿っている。


「…常務に言われたんだ」
「…え?」

「俺とにのの事。嗅ぎ回ってる記者がいるって」

予想外の話。
思わず目を見開いてしまう。
だって、俺何も聞いてない…

「タレコミがあったんだって。あの二人はゲイだって…」

「ゲイじゃないんですけど」

これは本当。俺は基本女の子がいい。

とは言え、端から見たらそうは感じないか

「俺だって違うよ。…けど、ゴシップネタになるでしょ。現に俺達は付き合ってるんだもん」

「何でそれを教えてくれなかったの」

そうだよ。
避ける前に言ってくれれば良いだけの話だろ。

「…仕事以外ではしばらく全ての関わりを持つなって。電話もメールも、どこで情報が抜かれるか分からないから…」

変なとこでバカ正直な相葉さんらしい…ったららしいのか。

でも!


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