今日も明日も
第28章 ありのままの君が好き
「ほら、床拭いたけど…移動するとき滑んなよ」
立ち上がって布巾を俺から受け取った相葉さんが
汚れたそれを纏めて
洗面台近くにあるバケツに入れようと歩き出して
「おわっ」
…ホント、お約束なヒトだよ
人に気を付けろって言う前に、自分が気を付けろよな
ーいってぇ…
尻餅ついて、情けない顔をしてる相葉さん
俺も立ち上がって、その情けない塊の前にしゃがみこんだ
「はい」
右手を差し出す
「え?」
何でそんなに目を丸くすんのよ…
「ほら、掴まって」
ちょっと首を傾げて、ニッと口角を上げる
ん?
相葉さんの目が変わった
…鋭くなった?
この目をした時は……逃げるに限る
少し腰を上げて…後ろに下がって
差し出した手を自分の方に戻そうとした瞬間
それよりも早く相葉さんが俺の手を掴んだ
あ、と思った時には中途半端な体勢は崩されていて
俺の体はすっぽりと相葉さんの腕の中に納まっていた
顔は相葉さんの胸の辺りに押し付けられている
衣装の飾りが…少し痛かった