今日も明日も
第30章 理由はいらない 3rd
「はい…?」
少しだけ、姿勢を正して二宮さんを見つめ…
る事は出来なかった
…やっぱり気恥ずかしくて
だから
二宮さんの、目を外した顔の他のパーツに視線を定める事にした
「これ」
「はい?」
テーブルに差し出されたのは、小さな黒い小銭入れ
「あ、これ…」
「相葉さんの、ですよね?」
確かに
でも何で?
「こないだ来た時…玄関の外に落ちてました」
「マジですか…」
このアパートのどっかにあるだろうと、捜す事もしなかった
大した金額は入ってないし、…ただ、中に入れてる御守りだけは気になってたけど
「困ってたら、と思ったんだけど、ちょっと忙しくて…」
ー…遅くなってすいません
なんて言って、二宮さんが頭を下げた
「いやいやいや!こちらこそわざわざ…っ」
慌てて俺も頭を下げると、また二宮さんが “いやこちらこそ“ と頭を下げて
お互いにお辞儀を何度か繰り返してたら目が合って
思わず同時に吹き出してしまった