今日も明日も
第30章 理由はいらない 3rd
さっきみた、二宮さんの嬉しそうな顔が、今は少し泣きそうになっていて
振り払われないといいな、思いながら
背中にそっと手を添えた
二宮さんは、何も言うことなく
…だけど少しだけ、俺にくっついてくれて
俺の方がドキドキしてしまう
「ありがとう、相葉さん」
「え?」
「来る勇気、なかったんだ…ずっと」
二宮さんが更に寄り添ってくる
ふわっと香る二宮さんのシャンプー?香水?の香りにクラクラしそうになった
「そ…なんだ」
…冷静な声、出せてるかな?
なんて変な心配をしていたら
ふと立ち止まった二宮さんが、上目遣いに俺を見つめ
「今日ね、俺の事分かったんです」
「…え」
二宮さんの瞳が潤み始めてきた
「“かずくん“ って…」
“まぁ、話すのは小学生の頃の俺に、みたいだったけど“
なんて、苦笑してるけど
名前はもちろん、存在すらも忘れられる事があった大好きなおばあちゃんからの、きっと最高のプレゼントになったんだと思う