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今日も明日も

第33章 ほのかに甘くholiday


「ってぇな…何だよ」
無意識に頭を叩いていた俺に、批難の目を向ける相葉さんに

「…べつに」
ぷいっとそっぽを向く


「…俺だって、帰りたくないよ」

ポツリと呟いた相葉さんの顔は、夜でも分かる位に真っ赤で

「でも、みんな心配してるじゃん」
自分にも言い聞かせるみたいに言葉を続けた


俺の心の中なんて、とっくに見抜かれてた

「…うん、ごめん」
だから素直に俺も謝る

「それにさ」
「え?」

「ここにいたら、蛙がずっといるよ?」
「それはヤダ!」


田んぼ道を抜けて、アスファルトの上に来ても
相葉さんは俺を降ろそうとしない

俺も、このままがいいなんて思ってるから
"降りるよ" とも言わない



…電柱の前まで来てから

「降りるよ」
俺は巻き付けた腕を解いて、降りる意志を見せた

俺を降ろした相葉さんは、しきりに腕を振っている

「さすがに長時間はキツかったみたい」
腕の感覚を取り戻そうと、色々試していた



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