テキストサイズ

今日も明日も

第7章 おくすり

「んじゃ、かんぱーい!」

缶のままのビールを軽くぶつけ、一気に煽る。

「はーっうまい!」
「しみるねぇ…っ」

二人でおっさん臭いセリフ。
ついつい見つめあって笑いだす。


そこからは

特に会話もなく、…それでいて心地好い空間に、次々に空になっていく缶。

飲んでいるのは殆ど…にの。

「んふふふ❤」

来た!
目がとろーんとして向かい合わせから俺の隣に移動する。
ピトッとくっついて「あーばしゃん❤」と上目遣い。


「酔っ払っちゃった…?」
もたれ掛かるにのの柔らかい髪を撫でながら囁いてみた。
「んー…わかんない」

ふにゃーっと笑うにのは完全に酔っている。
これだけでも充分に可愛い!たまんない!


ハーフパンツのポケットを探って、翔ちゃんから貰ったアレを手に取った。

片手はにのの肩を抱き、空いている手でにのにバレないようにパッケージを開ける。

「あーばしゃーん❤ビールおいしぃねぇ~」

くふくふ笑って更にビールを飲む。

「そうだね~」

とりあえず、にのが寝落ちする前に飲ませよう!

俺はピンク色の錠剤を口に入れ、飲み込まないように気を付けてビールを含んだ。

にのの顎を軽く掴み、そのまま口づける。
ビールと一緒にもちろん「ソレ」も流し込む。

「ん…っふ…」

飲み込むまで唇は離さない。
口の中の違和感に、にのは唇から逃れようとしたけど、それを許すはずがなくて。

ゴクン、と喉が鳴ったのを確認してから

…ゆっくりと唇を解放した。

「なんか…はいってた」
「気のせいじゃない?」

とぼけてまたキスをする。

「ん…そう?」

酔ってて正解。決して小さくないそれは、シラフなら絶対に飲み込まないから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ