テキストサイズ

今日も明日も

第42章 おさななじみ



「…なに?」

ようやく答えてはくれたけど
笑顔とか、前みたいにとか、そんなものとは程遠く低い不機嫌な声

それでも、返事をしてくれたってのは
物凄い進歩で

周りに人がいっぱいいるのをすっかり忘れて
俺は嬉しさのあまり、後ろからかずに抱き着いた


「何すんだよっ!」
かずが俺のおでこを押して引き剥がそうとするけど

「だってかずが返事してくれたんだもん!」
それくらい何ともない


「お前がうるさいからだろうが」
かずもグイグイ押して来たところで

「それでも嬉しいの!」
力は俺の方があるんだ

周りの生徒にクスクス笑われてるけど気にしない

今はとにかくかずを掴まえてないとダメなんだから

せっかく答えてくれた今のこの時を逃してたまるかっての


「離せ!」

「やだ!」

「ふざけんなよ!」

「俺は本気だ!」

端から見たらじゃれあってるようにしか見えてないようだけど、俺は本当に必死だった


「話したい」

「話す事なんかない」
かずもまた、頑なな態度を崩さないから

結局家に着くまで押し問答は続いていた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ