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今日も明日も

第8章 のんりある 番外編

そうだよね。

あれだけフルシカトで全力無視してたのが折れたんだもん。
気になるよね

でも

「大したことじゃないよ…ちょっとね」

そこは曖昧にして誤魔化した。

何かを察したのか翔ちゃんもそれ以上は突っ込んでは来なかった

「二宮くんには聞いたの?」

「今日の今日では聞かないよ。…どっかでは聞いてみたいけどね」

こういうところが翔ちゃんらしい。
気になって仕方ないくせに。


「ねぇ、翔ちゃん」
「ん?」

「何で今日は雅紀抜きにしたの?」

俺が気になる事。
いつもは雅紀が一緒なのを喜んでたのに。
自分から「雅紀も来るでしょ」って言ってたのに。


「…あ、うん。今日は智に話があって」

スッ…と翔ちゃんの目に真剣な光が灯った。

その目にドキッとしてしまう。
昔から、そうだった。
この目で話す時は、俺も絶対に嘘は付けないし真摯に向き合う時。


「んー…あの、さ」

珍しく歯切れが悪い。

翔ちゃんが、グイッとグラスを傾ける。

俺は次の言葉を待つしかなくて

酒飲んでる姿もイケてるよなぁ…なんて思って、目の前の人を眺めていた。

「…雅紀に触発されたわけじゃないけど」

「うん」

「当たって砕けたくもないんだけど」

「うん…」


もう一度、残った酒を手に持って
全てを飲み干すと

「俺、智が好きだ」

「知ってる」

今さら何を言うんだろう。
昔から、翔ちゃんの事好きだよ?

だから仲良くしてるんじゃん?

「え?」

「え?」

翔ちゃんが聞き返すから、俺まで同じ反応。

「智…?」

「好きだから、ずっと友達でいるんじゃん。好きじゃなきゃこうして飲んだりしないでしょ?」


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