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今日も明日も

第44章 恋空模様


ガタッと大きな音を立てて、二宮くんがこっちを振り返った


「あ…」

みるみるうちに赤くなる顔
だけどゆっくりと足は後ろに下がっている

「ごめ…なさい…」

「え…」

何で二宮くんが謝るの?
謝るような事、何もしてないじゃん


「何で、謝るの…?」

俺が一歩近付けば二宮くんが一歩下がる


…そこまで怖がらないでよ

俺、何もしてないじゃん


だけど二宮くんは何もそれ以上は言葉を発せず、今にも泣きそうな顔をするだけで

妙な静けさが教室を支配する


どうしよう

俺はただ、二宮くんのピアノが気に入って
彼の弾く姿に惹かれて

…仲良くなりたいって思っただけなのに


…それとも
俺がいる自体が、二宮くんを怖がらせてるの?


でも、こないだは優しい顔で弾いてくれたよね
あれは…仕方なく、だった?


「二宮くん」

「……」

「俺、迷惑だった?」

二宮くんが弾かれたように俯いた顔を上げて
…まるで子犬みたいにふるふると首を横に振る


「ちが……っ」

「え…」




「俺なんかと一緒にいたら…相葉くんに迷惑掛けちゃう」

二宮くんの目から、涙が溢れだした


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