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今日も明日も

第45章 楽園


「…うん」

「あ……?」

頷いた相葉さんが、当たり前のように俺の手を握るから
びっくりして声が出てしまった


「行こ」
「あ、うん…」

にこっと笑う相葉さんはいつもの相葉さんで

さっきまでの車内での態度とは180度違う、…違いすぎる


何なんだよ
意味分かんねぇよ


手を握り直して、指を絡められて

普段なら “こんなとこで!“ って怒る俺なのに

…そう言えば手を繋ぐのも久しぶりかも、なんて思ったら外せなくなって


何なんだこれ

…俺も訳分かんねぇよ





エレベーターに乗ったら、付き合い始めの頃みたいにキスされて

それを受け入れてる俺がいて

唇を離しても、視線を離さないとことか
蕩けるような顔をしてるとことか


まるであの頃にタイムスリップしたかのような雰囲気


だから俺も、何となく相葉さんの胸に体を預けてみたら


「え?」

……あっさり肩を掴んで離された


「家に入ってから、ね」

そう言って笑ってみせる相葉さんの目は
…笑ってなかった


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