
今日も明日も
第49章 春が近いから
「…ごめん、にの」
最初に口火を切ったのは、相葉さんだった
「え……」
「あんな…酷い事……俺…」
相葉さんの視線は、俺のシャツの取れてしまったボタンの位置
上の方だから、座ってても見えていた
「ねぇ、相葉さん」
あくまで俺は笑ったまま
「……」
今度は相葉さんが少し俯いてる
「忘れよ?……お互い酔ってたんだよ」
さっきの出来事は忘れて、元に戻ろうよ
それなら俺は……狡いけど傷付かなくて済むんだ
てっきり相葉さんも “分かった“ って言ってくれると思ってたのに
「…違うの?」
相葉さんからの言葉は意外すぎるものだった
「俺を好きって言ってくれたの…嘘なの?」
「え、…あ……」
そうだよ、って言ってしまえば良かったのに
冗談だよって演じれば良かったのに
相葉さんの顔見たら、言葉に詰まってしまった
「あんな事しといて、今さらなんだけど…」
相葉さんが真っ直ぐに俺を見つめる
「俺…にのが好きだ」
