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今日も明日も

第52章 Bitter Sweet


「やっと顔が見れた」

そう笑ってみれば、みるみるうちに真っ赤になって顔を背けようとするから

「ダメ」
グッと顎を掴んで俺の方に視線を戻させた

「離せよ…」
弱々しい声で睨むのは逆の意味

「離して欲しい?」
睨むその目を覗き込めば悔しげに唇を噛むんだから全く素直じゃない


「…ま、離すつもりはないけど」
顎を掴んだまま、噛み付くように唇を奪うと
一瞬目を見開いたかずは、すぐにその瞳を瞼の裏に隠した


噛み締めた唇をほどくのは簡単な事

顎を掴んだ手を柔らかい頬に回して、優しく撫でればいい

まだ幼い彼にキスを教え込んだのは俺だ
キスが気持ちいいものだと彼は覚えた


そういうお年頃の彼が拒む訳がない


「はぁ…、ん、ん…、んぅ…」
すぐにキスに夢中になるくせに

唇が離れた途端に

「最低…」
と再び睨み付ける

彼なりの照れ隠し
このギャップがたまらない

これがそのうち、快楽に溺れて必死に俺に縋りついてくるんだから

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