今日も明日も
第58章 見えない鎖 part Ⅱ
そのくせ繋いでいる手を離す事もできないとなると、目を逸らしてもぬくもりをしっかり感じ取ってしまうとか
本当俺、おかしいだろ
落ち着け
かずくんは、男
肌が白かろうが、鎖骨が綺麗だろうが、おっぱいがあるわけじゃない
「測るね」
それでもそう簡単には意識を変えられない俺は、視線を逸らしたまま体温計をかずくんの脇に差し込み、まるで大仕事を終えたかのような溜め息を吐いた
「38.0度…、下がっては来たね」
「はい…」
そう言えば解熱剤、38度を超えたらって書いてあった
少し下がって来たとは言っても1度飲ませようか
水分も殆ど取ってないし、何よりも下がれば何か食べられるかもしれない
かずくんをうちに連れてきてから、食べたのって本当にごく僅か
後はこの4日、ほぼ横になってしまっている
「かずくん…プリンなら食べれる?少しお腹に入れて、お薬飲も」
「おくすり……?」
「そ。体が楽になると思うし」
「はい」
それなら、とまた手を離す事を説明して立ち上がろうとした
だけどかずくんは手を離そうとはしなかった