今日も明日も
第68章 見えない鎖 Ⅶ
「まあ、そんな事はいいよ。あまり時間もないからとにかく話そう」
テーブルを挟んで座った先輩が、真剣な表情に変わる
「はい」
思わず正座をした俺に、先輩は
「楽にしろって」
苦笑して、手をヒラヒラさせた
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かずくんのお兄さんと先輩は、小学校からの同級生だった
高校も偶然同じで、特に仲が良い訳ではないけど
そこそこ付き合いもあったらしい
彼の両親…つまりかずくんの両親は、かずくんが中学に上がる直前に亡くなっていて
事故死、とされてはいるけど
葬儀の時の兄の様子は、誰が見てもどこか奇妙だったようだ
まるでそれを楽しんでるようにしか、見えなかったらしい
「小学生ん時はさ、凄く弟を可愛がってた」
泣き虫な弟…かずくんを、いつも守ってたようだ
だけどいつからか
端から見ても異常な程にかずくんに対し、執着を見せるようになったと言う
いつだったか、彼が笑って言ってたのを聞いた
“かずなりは、俺の所有物だから“
…だから何しても、逆らわないんだよ
その時の声色が、表情が
今でも忘れられないくらいに不気味だったと、先輩が思い出したように眉を潜めた