今日も明日も
第68章 見えない鎖 Ⅶ
共通の友達から、彼が弟を監禁してるらしいと言う話を聞いたのは高校生の時で
まさかと思って冗談混じりに彼に聞いたら
“監禁、じゃないよ。守ってるだけ“
余計な情報は必要ない
かずなりは俺にだけ従えばいいんだから
そう言って笑っていたらしい
“勝手に動けないようにもしてるけどね“
楽しそうに笑う彼が信じられなかった
…先輩は、この時からかずくんのお兄さんとは直接関わるのを止めた
それからの事は共通の友達から聞いただけだけど、と前置きをした上で
更に話を続けてくれた
友達の話によると
食事は朝に1食のみで
…元気に動き回られると心配だから、とギリギリのラインにしていた
かずくんが逃げようとした時に “罰“ だと言って火のついたタバコを押し付け黙らせた
返事は “はい“ しか認めない
勿論学校なんて行けるはずもなく、教師だけではなく、児相が尋ねる事もあったけど
見た目、人当たりが良い彼は “自分も心配なんだ“ と演技をし
顔には一切傷を付けられていないかずくんを、その大人に平然と会わせていた
かずくんには “学校に行きたくない“ と不登校をでっち上げるように命令した……
これをかずくんの兄は飄々と語っていたようだった