今日も明日も
第68章 見えない鎖 Ⅶ
先輩の言葉が遠く感じる
「あいつは、人を殺す事に…傷付ける事に罪悪感がない」
「え……」
「弟を溺愛しすぎて狂ったんだ。弟に触れていいのは、自分と、大金を払う自分のお眼鏡に叶った奴のみ。弟を傷付けるのも、可愛がるのも…全部自分が中心なんだよ」
「かずくんは……」
「あの子も、壊れかけてる。俺だってな、あの子を実際見たら “離れろ“ とは言いたくねぇよ。助けてやりたい。
けど、冗談でも何でもなく、このままだとお前は標的だ。だったら一緒に逃げるか、あの子を離すか、それしかないんだよ…っ」
“あいつを甘く見るな“
それは、昔を知っているのと
今の状態を聞いた上での、先輩の言葉だった
「あいつの情報網はすごいからな。恐らく近くにいるのは把握してる」
「なんで……」
「友達が言ってたんだよ。最近この辺で見かけるって」
「まさか」
「ネットの特定班ってのはシャレにならねぇよ。お前がかくまってるのがバレるのは、時間の問題」
“昨日の外出は、ヤバかったかも“
先輩が大きな溜め息を吐いた