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Beast 〜獣たちに好かれた僕〜

第2章 はじまり



ピンポーン


聖輝「ぐすっ…中野さんだ…」


僕はベッドから出て、玄関に向かった。


ガチャッ


中野「おはよう、聖輝くん。」


聖輝「おはようございます。」


中野「あらら、また目が真っ赤だね…冷やしておいで。」


聖輝「はい…」


中野さんは毎朝僕の様子を見に来てくれる。


この町に来た時、一緒に住もうって言ってくれたけど…いつまでも中野さんに甘えてはいられないと思って、断った。


その代わり、中野さんが僕が一人で大丈夫と思えるまで毎朝様子を見に行く約束をした。


中野さんは僕が住んでるアパートから徒歩5分のところに住んでいる。


だから、もし僕に何かが起こったらすぐに駆けつけてくれる。


中野「スッキリした?」


聖輝「はい…」


中野「これ、晩ご飯の残りだけど…よかったら食べて。」


聖輝「ありがとうございます。」


中野さんは手ぶらで来ない。


こうして、毎朝僕の為にご飯を持って来てくれる。


中野「いよいよ明日だね、入学式。」


聖輝「はい、楽しみです。」


学校見学はしたことないけど、パンフレットをもらった。


見る限り、校舎は綺麗で、文学運動共に力を入れているところで、地方から寮やアパートを借りて通学する生徒が多い。


僕は聞いたことなかったけど、結構名門校らしい。


聖輝「榊ヶ丘高校…」


中野「ごめんね。明日仕事で入学式来られそうにないんだよ。」


聖輝「いえいえ!ここまでしてくれただけでも十分ですので。」


中野「聖輝くん…」


聖輝「中野さんには本当に感謝しています。ありがとうございます。」


中野「いやいや、きみのお父さんには色々お世話になったからね。」


聖輝「…本当に…ありがとうございます…」


中野「ふふ。さぁ、食べよっか。佳子の手作りハンバーグは美味いぞ〜?」


聖輝「美味しそう…いただきます!」


僕は幸せだ。


人生最大の不幸の中、救いの手によって、僕は幸せを掴み取った。


ごく普通のことが…当たり前のことが…こんなに幸せなことなんて…


考えたこともなかった。

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