Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第7章 桜蘭(さくら)
聖輝「ふふ、シュークリーム買っちゃった♡」
狛犬さん喜んでくれるかな…
ガラ
狛犬「もぉ〜心配しなくても大丈夫だって!」
聖輝「?!」
誰かいる……
僕は病室の外でそっと耳を傾けた。
「無理しないでね…まーくん無茶するところあるから…」
狛犬「大丈夫だって!かえでちゃんには心配かけないから!」
聖輝「……。」
かえでちゃん…?
「…まーくん死んだら私悲しいもん…」
狛犬「そんな悲しい顔しないでよ…俺まで悲しくなっちゃうよ…」
「だって…あんな危ない高校に行って…もし本当に殺されたりしたら…私…私…!!」
狛犬「かえでちゃん…」
ギュッ
聖輝「っ?!」
狛犬「大丈夫だよ…俺…かえでちゃん置いて死んだりしない…約束する…」
「まーくん…」
聖輝「……。」
僕は病室の前から静かにエレベーターの方に向かった。
聖輝「……。」
あの2人…お似合いだったな…
抱き合ってたし…
あんな甘い雰囲気の中に僕が入る訳にはいかないよ…
聖輝「……。」
あれ…何で…
何で涙が出てくるの…?
どうして…涙が…止まらないよ…!!
聖輝「ぐすっ……」
僕は近くのベンチに座ってしばらく一人で静かに涙を流していた。
僕を守ってくれていた人が…急に取られた気がした…