Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第12章 大倉くん
聖輝「ぐすっ……」
忠義「……そっか……辛かったね……」
聖輝「ぼ…僕……一人ぼっちだから……家族の話聞くだけ…で…!!」
忠義「そうやんな、思い出しちゃうよな…」
聖輝「ゔぅ…おと…さ…おか…さん…!!」
忠義「寂しかったやんな…」
聖輝「ゔぅ…うわぁぁーん!!」
忠義「涼野くん…」
聖輝「うわぁぁーん!!」
忠義「……。」
大倉くんは泣きすがる僕を優しく抱きしめ、背中をさすってくれる。
何も言わず只々僕の背中をさする。
聖輝「ゔぅっ…ゔっ…!」
忠義「涼野くん……」
聖輝「ぐすっ……」
忠義「涼野くんは…一人ちゃうよ?」
聖輝「…えっ…?」
忠義「涼野くんには…この町に連れて来てくれた中野さんがおる。」
忠義「それに、バイト先で出会った神崎一家。」
忠義「新しい高校の友達。」
忠義「そして……俺。」
忠義「家族じゃなくても…涼野くんの周りには涼野くんを支えてくれる人がおる。それって…すごい幸せなことなんよ?」
聖輝「幸せ…?」
忠義「そう、家族おるのに孤独な人も世の中にはおるからね…それに比べたら涼野くんは幸せやで?」
聖輝「…でも…僕……」
忠義「それに…嫌かもしれへんけど…家族のこと…時々思い出したって?」
聖輝「えっ…?」
忠義「大好きな子どもに思い出してもらわれへんのって…天国にいるお父さんお母さんにとってすごい悲しいことやと思う。」
忠義「それだけじゃない、お父さんもお母さんも…悲しんでる涼野くんの姿見るの辛いと思う。」
忠義「せやから…無理に笑えとは言わへん。けどな…そんな悲しい顔せんとって…?」
聖輝「大倉くん……」