Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第24章 カミングアウト
櫻井「…聖子ちゃん……」
聖輝「はっはい……」
櫻井「…俺のこと…好きって言ってくれなかったよね。」
聖輝「…はい……」
櫻井「それって…俺のことがどうしても好きになれなかったの?それとも…自分が男だから言えなかったの?」
聖輝「…僕…自分の性を恨みました……」
櫻井「えっ?」
聖輝「翔くんに好きだって言われて…すごく嬉しかったんです…だけど……」
聖輝「僕…男だから…このまま受け入れたら…翔くんを傷つけるって思って…」
聖輝「今まで一緒にいた翔くんとの思い出を壊したくなくて…だから……」
櫻井「……。」
聖輝「……。」
櫻井「…聖子ちゃんから電話が来た時…何となく予想はしてた…」
櫻井「俺、絶対振られるんだろうなって…」
聖輝「……。」
櫻井「俺…聖子ちゃんの秘密も…全部受け止める気持ちでいた…」
櫻井「もしかしたら…家族から酷い扱いされてきて家を飛び出したんじゃないかとか…年齢を誤魔化してるんじゃないかとか…色々考えたんだけど…」
櫻井「いやぁ…びっくりしたなぁ〜!まさか聖子ちゃんが男の子だったなんて…思いもしなかったな…」
櫻井「そうだよな…男と男の恋愛なんて…受け入れられないよね…」
聖輝「翔くん……」
櫻井「俺もさすがに…男の子と恋愛はできないな……」
聖輝「…ごめんなさい……」
櫻井「仕方ないよ、事情があって働いてたんでしょ?聖子ちゃんのこと…責められないよ…」
聖輝「……。」
櫻井「…お店は…辞めるの…?」
聖輝「…はい……」
櫻井「そっか…じゃあ…今日でお別れになるのかな。」
聖輝「……。」
櫻井「あっという間だったな…聖子ちゃんとの時間……」
櫻井「俺さ、こんなにも人を好きになったの初めてだったからさ…聖子ちゃん見た時はもう何が何でも振り向かせてみせるって思ってたんだ。」
櫻井「いろんな雑誌やサイトで恋愛テクニックを調べてさ…もうそれは必死だったよ。」
櫻井「でも…どうやっても…それは叶わないんだよね…」
聖輝「……。」
櫻井「…叶わない恋を…俺はしてたんだね…」
聖輝「……。」