Beast 〜獣たちに好かれた僕〜
第6章 死神
優誠「…一回様子見に戻るか…」
ギュッ
優誠「えっ?」
聖輝「ねっねぇ…手…離さないでね…?」
優誠「ちょっ…ルーキー?」
聖輝「お願い…離さないで…!!」
優誠「……分かった……」
優誠くんは僕の手を強く握ってくれた。
大きくて…温かくて…安心できる…
聖輝「なっ何か…静かじゃない…?」
優誠「本当だな…1年の校舎だけ妙に静かだ…」
聖輝「……ひぃっ!!」
優誠「なっ…?!」
階段を降りて、曲がった瞬間、僕達は恐ろしい光景を目の当たりにした。
聖輝「あっあぁ…!!」
優誠「うわっ…これは酷いわ…」
廊下のあちこちに無残に倒れてる不良達。
教室を覗くと誰一人いない。
死神に殺られたか、僕達と同じように逃げたか、どっちかだろう。
優誠「死神の奴……」
聖輝「やっやだ…怖いよ…!!」
「はいはい、ちょっとごめんなさいね。」
聖輝「えっ…?」
「あーあ…錦戸くんったらまーた殺っちゃったか〜」
優誠「は?錦戸くん?」
「お?きみ達!無事だったか!」
聖輝「はっはい……」
優誠「えっと…おっさん誰?」
北島「おっさんって…私はこの学校の保健医の北島修だ!」
聖輝「えっ?保健室の先生…?」
北島「そうだ!まったく…この学校に来てから仕事がドッと増えたわ…」
優誠「えっ…こいつら…全員手当てするんすか…?」
北島「それが保健医の仕事だからね。」
聖輝「うわぁ…大変…」
北島「大変だろ?かわいそうだろ?」
優誠「まっまぁ…」
北島「というわけで、ここで会ったのも何かの縁!さぁ、手伝ってくれ!」
優誠「はぁ?!何で俺達がこいつらの手当てしなきゃいけねぇんだよ!!」
北島「だって〜タジー一人じゃしんどいんだもん。」
聖輝「はっはぁ……」
優誠「キモ…おっさんがぶりっ子すんなよ…」
北島「いいから!!ほらさっさと動く!!」
聖輝「はっはい!」
優誠「ハァ…何で俺が……」
僕達は保健医の北島先生に強制的にケガの手当てを手伝わされた。