トクベツ、な想い
第11章 11
ダメだ、気になって集中できない…
仕事が再開されて何分も経たない内に限界がきた
こんなこと普段じゃしないけど…
iPhoneを持ってトイレに向かう
手前の個室にさっと入って先程のページを開くと
最初から最後まで読みきり、素早くそこを出た
自分のデスクに戻って、仕事用のiPad画面を指で弾いていくが間もなくその動きが停止する
映されたグラフをぼーっと見つめてしまって
結局知っても知らなくても仕事に身が入らないのは同じだった
ブログの内容が強く脳裏に焼き付いている
あのページには事細かにやり方が書いてあって
何も知らないでされるより準備しといた方が…
普段の自分は"準備"っていうのが大切なのを知っているから
調べるワードに躊躇してしまって検索できないでいたけど、自分への後押しにやっと決心して"男同士"と打ち込んだのに…
なんとなく程度で完全には知らなかった先は
潤とならって思った先は…意外にも大変そうで
あんなこと…俺達にできんの?
恐怖が増し、それに加え不安までもが俺を襲うようになってしまった
ー今日は早めに帰れた
でも潤は残業があると言ってたからきっと遅くなるだろうと思い、部屋着に着替えてソファに横たわる
仰向けの状態で持っていたiPhoneをいじるが
無意識に会社で見ていたページをまた開いてしまっていた
…そういうこと自体に興味がないわけじゃない、俺だって男だし
好きだから、欲情だってするよ
でもこの行為を実際にやるとなると…
繋がるって…なんてリスク…
「はぁ…完全に怖がってるし…」
指を下から上へスクロールさせてiPhoneに映る画面を動かす
文字を追って手順を読み直してみるが
「十分解く…って…そんな、女じゃないのに…できんの?」
不安が煽られて、益々俺を窮地に立たせるだけ
この人達はうまくいったみたいだけど…
なんか他の見たら、実際そこまでいってる人って少ないみたいじゃん
そうだよ、潤だってもしかしたらそこまで求めてないのかもしれない
俺の勝手な先読みなのかもしれない
そうポジティブに思って、ページの1番下に目を進ませると
オススメのローションとコンドームのメーカーが書いてあった