トクベツ、な想い
第11章 11
「………か…買っとこう…かな……」
一応な、一応…
自分に言い聞かせて通販サイトに飛ぶと探し出してカートに入れておいた
もしかしたら潤がもう持ってるかもしれないけど…
経験者が言うならこれがいいのだろうと
不安ながらも、でも購入まで押す勇気はなくて…
「潤が使うって言ったら…」
……ん?待てよ
なんで俺が使われる前提で話を進ませてんだ
力じゃ敵わないから俺が押されて色々されてはいるけど…
潤だって俺と体の仕組みは一緒なんだから俺じゃなくたっていいじゃん
…そういう問題じゃないかもしれないけど
そもそもアラサーのおっさん襲って何が楽しいんだ
だったら断然、潤だろ
うんうんと自分の考えに同意して
じゃあこれは繋がることになってもならなくてもいいように、持ってはいようと購入ボタンを押した
購入確認ページを見て、ボボッと顔が熱を発する
iPhoneをテーブルに置き、うつ伏せになってソファにあるクッションに顔を埋めた
「…なんだよこの注文……」
胸を激しく叩く心臓に落ち着けと言っている内に、いつの間にか俺は夢の世界へと入ってしまっていた
ピンポーンとインターホンが鳴る
「っ!?へ…潤!?」
クッションから顔を上げ時計を見ると8時を指していた
あのまま寝ちゃってた…?
慌てて起き上がり、エントランスの扉を開ける
すぐに潤がここへ来てしまうと頭を抱えた
「えーっと何用意すんだっけ…
…あ、なんか買ってくるって言ってたからグラスだけでいいのか…」
ホッとしたが冷静に考えると3時間も寝てしまっていた自分に、子供かとツッコみを入れた
グラスをテーブルに出して
床に散らばったものをささっと端に避けて
終わった頃、ドアからトントンと軽快な音が聞こえてきた
「お疲れー」
カチャッとドアを開け、潤が中へ入りやすいようにドアノブを持ったまま体を端に避けた
「お疲れ様、翔くん寝てたでしょ?」
「え、なんで…」
「寝癖」
「まじ!?」
自分の髪に片手を伸ばしてあちこち触ると前髪が少し上がっていた
あ…クッションに顔つけてたから…