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トクベツ、な想い

第12章 12







「繋がんなくてもいいって…アタシは思うけど?」


「…ですよね」



俺の考えと同じなのに、正しいって思ってるのに

なんでだろう…ひきつった笑いしかできない



「…納得できないの?」


「いや、よく…分からなくて…」


「……何が分からない?」



子供をあやすような優しい微笑みで真っ直ぐ見つめられる

1度唇をきゅっと結んでから口を開いた



「…ひとつになれないことで…
表には出さないけど、なんかギクシャクしてて…
なんでって…一緒にいれるだけで幸せじゃないのって

最初は潤が望むなら繋がるのもって思ってたんですけど…どっちがされる方とかで1回言い合いにもなって…
どうしたらいいんだろうなって…」



はぁとため息を漏らした

まとまってなかったけど、悩んでいた心情を初めて人に話してちょっとスッキリした



「される方は嫌なの?」


「…痛いらしいし」


「そうね、女の子と違うもの
でもそれはする側によってどうにでもなるのよ?
人間の体って不思議でね…アタシはする側だけど1度も痛いなんて言われた事ないわ」


「でも潤だって俺だって初めてですし…絶対…」


「それはあるけど…翔ちゃんちょっと落ち着いて
想像だけ走らせて、自分で恐怖を膨らませちゃダメよ」



何回か息を吸ったり吐いたりして気持ちを整える



「…アタシね…ひとつになることもいいって思ってるの

傍にいるけど不安で、好きって言われてるけど本当なのかって…
そう思った時は繋がることが何にも敵わない証明になるって…

お互いに求めあって、快感を共にして、痛みがあったとしても終わった後に笑い合って…ずっと一緒だよってひとつになった証に言うの…幸せな瞬間だと思わない?」



唖然とした

男同士だから痛いって…逃げることしか…恐怖しか
俺はそれ以外何も想像できなかったのに

そんな先まで…先の先まで思い描いてなかった



「…心の痛みも体の痛みも人生には必ずあるの
でもその先に幸せがあるなら、その時の痛みなんて一瞬よ
寧ろ、痛みを忘れるくらい幸福に思うかもしれないわ
潤ちゃんとなら…想いあってるあなた達ならきっとね」



なんだかすごい救われた気がして

目尻に涙が浮かびそうになった


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