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トクベツ、な想い

第14章 14





いつ来たのか用意されていた服を拭いた体の上から着て、ドライヤーで髪を乾かし脱衣所の扉を開けた

キッチンで料理をしていた潤がそれに気付き足早に近寄ってくる



「温まった?」


「うん」


「風邪引かないでよ?」


「大丈夫だよ、こんくらい」



良かったと頷いてキッチンに戻っていく潤の後を追った



「今日早くなかった?」


「うん、翔くんより早く来なきゃって思って…超急いだよ」



確かに傘立てに潤の傘あったけど急いだってことは…

にこにこした顔から目線を外して髪を見ると
やっぱり少し濡れていた



「潤もシャワー浴びたら?」


「俺は大丈夫だよ、そんな風邪引かないし」


「引くかもしれないじゃん」


「大丈夫だって、翔くんが思ったより早かったからまだご飯も…」



話しながら調理を止めない手を横から掴んだ

え?とこちらを向いた潤の唇にチュッと軽く触れる



「俺だって心配なんだよ…潤が上がったら一緒に飯作ればいいじゃん、だからシャワー浴びてこいって」


「……うん」



顔を真っ赤にしてキッチンを出ていった潤にキュンとした


キスより先のことしてるのになんだあの反応…


傘を貸した子も可愛かったけど…

今の俺に潤以上はいない



「……反則だろ…」



顔を両手で覆ってその場で悶えた


それから上がってきた潤と一緒に飯を作った

スマートにこなしていると思ってた潤の手捌きは意外と不器用で

俺よりは全然マシだけど
飯を作ってくれる時はいつもこうやって、一生懸命やってくれてたんだと思うとまた胸がときめいた



「…あんまり見られたくなかったな」


「なんで、気にする必要ないだろ?」


「…恥ずかしいよ…あーもっと上手にできないかな…」


「気持ちが入ってればいいんだって、潤の料理うまいしさ」


「ありがとう…でもたまに蓮くん達が教えてくれた料理出してるんだよ?」


「倫さんから聞いた、教わってるんだってな」


「あ、聞いたの?あの2人ねー本当にすごいんだよ?
創作料理なんだけど、どれもおいしいくて
あのお店のやつ全部そうだからね」


ほらこれと割合やレシピの書かれた本を見せられると
見たこともない料理の中に、俺が食べた倫さんのハンバーグのことが書いてあった


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